2023.12.21
お知らせ
Titania Researchとブロックチェーンに関する研究開発を開始しました

分散型金融の研究機関である株式会社Next Finance Tech(本社:東京都渋谷区、代表取締役:徳力創一朗、土田真也)は、Titania Researchとブロックチェーンに関する研究開発を開始しました。

背景

本リサーチ・パートナーシップは、ブロックチェーンや分散型金融アプリケーションが抱えるMEVの課題を解決し、イーサリアム・エコシステムに貢献することを目的としています。

イーサリアムでは、ノードの運営を行う複数のバリデーターが自身の資産をロックし、ブロックの検証や構築を行うことでブロックチェーンの運営を行っています。これらブロック構築に関わるエコシステムにおける重要な課題として、MEVに関連したサプライチェーンの垂直統合や検閲耐性の低下問題があります[1]。変化が速く不確実性が高い本領域では、これらの課題への深い理解と解決策の提案や実装が重要です。

本パートナーシップでは、これらの課題に対する解決策の提案と開発に取り組みます。Titania Researchが持つMEVと分散型金融に関する深い洞察と、Next Finance Techが持つ伝統的ファイナンスの知見を組み合わせ、共同で研究開発を行います。

MEV / MEV-boostとは

MEVは、Miner / Maximal Extractable Valueの略で、ブロック構築者がブロックにトランザクションを任意に含めたり、除外したり、並べ替えたりすることで得られる利益のことを指します[2]。これらには、裁定取引や清算、さらにはフロントランニングとバックランニングを組み合わせたサンドイッチ攻撃などがあります。サンドイッチ攻撃では、MEVプレイヤーが、ある大口ユーザーが分散型交換所(DEX)で暗号資産を大量購入する前後、それを売買して利益を得ます。MEVは市場の効率化や安定化に寄与していますが、DeFi上で取引を行うユーザーには取引の安全性に関する懸念をもたらしています[3]。

MEV-Boostは、バリデーターがブロック構築者から提供されるMEVに最適化されたブロックをリレイヤーを介して受け取り、提案することで自身の利益を最大化できるアプリケーションや仕組みのことを指します。このシステムはFlashbots社によって開発され、ブロック構築者とブロック提案者の分離に寄与しています[4, 5]。現在、90%以上のバリデーターがMEV-Boostを利用しており、自身のバリデーター報酬を最大化させています。しかし、ブロック構築者やリレイヤーは参入障壁が高いため集権化しており、検閲性や分散性の観点で懸念が残ります。

研究テーマ

本パートナーシップでは、以下の2つの課題に焦点を当てています

  1. ブロック構築者の集中化
    現在、イーサリアムエコシステム内の少数のブロック構築者が、知識やインフラを支配しており、これが競争上の優位性を生み出す恐れがあります。この状況は、検閲耐性の低下や分散性の欠如を引き起こす可能性があります。この問題に対処するため、バリデーターのブロック構築プロセスおよび提案手順の分散性と柔軟性を高めるメカニズムデザインとオークション理論に関する研究開発を行います。
  2. 取引の透明性
    2023年夏にリリースされたUniswap Xは、取引利用者に流動性を提供し市場効率を向上させていますが、オフチェーン取引の増加により取引の透明性低下が生じています。この問題に対処するため、Uniswap Xのシステム設計の透明性を高めつつ、中立性と効率性を有するサプライチェーンの研究開発を行います。

Titania Researchについて

Titania Researchは、MEVサプライチェーンの中央集権化と検閲の問題を研究開発する研究チームです。研究面だけにフォーカスするのではなく、解決策を生み出し、グローバルで成果を生み出すことで、イーサリアムに貢献することを目的としています。

また、イーサリアムのオープンかつパーミッションレスな文化を引き続き、オープンな議論と開発を重視しています。この方針の元、2024年(*1)に、Titania Programを開始します。このプログラムでは、誰もが自由にTitania-Open-Ploblemに参加し、新しい議題を提案し、貢献することができ、Titania Researchが各議題に対してサポートを行います。研究テーマは主にMEVサプライチェーンの改善に集中していますが、その範囲は多様であり、Next Finance Techと協力してサポートを行っていきます。

ご興味のある方は、以下からお問い合わせください。

*1:詳細日程は確定次第お知らせいたします

Next Finance Techについて

株式会社Next Finance Techは日本国内における暗号資産の普及を見据え、多くの人々がその運用・管理に関する魅力的な機会を享受できる“Fun with Finance”をテーマに創業しました。主なサービスとして、ブロックチェーンやDeFiプロトコルのリサーチメディア「レディファイ・リサーチ」、イーサリアムを始めとするPoSチェーンのステーキング事業「レディファイ・ステーキング」を提供しております。また研究開発においては、大阪工業大学と”ビットコイン・ライトニングネットワーク”に関する研究、香港科技大学と”分散型金融”に関する研究を行っております。

ご興味のある方は、以下からお問い合わせください。

参考文献

  1. Emperor. "A List of Open Problems in Crypto - II." 2023年10月5日. 参照先: https://mirror.xyz/0xa9BFf1967E1F76373F67C48F42f1178520bb38C6/m15QRhrE_6Nn-Ecj6wRWmHTNcxyPKtel_8whvRbztTo
  2. Titania Research. "MEV-101: How to Dive into MEV." Medium. 参照先: https://medium.com/@titania-research/mev-101-how-to-dive-into-mev-53271f888c59
  3. Monoceros. "Maximal Extractable Value Book." Monoceros Insights. 参照先: https://www.monoceros.com/insights/maximal-extractable-value-book
  4. Flashbots. "MEV-Boost Block Proposal." Flashbots Documentation. 参照先: https://docs.flashbots.net/flashbots-mev-boost/architectureoverview/block-proposal
  5. Flashbots. "What is MEV-Boost?" GitHub. 参照先: https://github.com/flashbots/mev-boost#installing
弊社概要
会社名 株式会社Next Finance Tech
本社所在地 東京都渋谷区神宮前2-12-1 ウェールビル4階
役員数 25人(業務委託等を含む)
顧問弁護士事務所 アンダーソン・毛利・友常法律事務所、S&W国際法律事務所
顧問税理士事務所 ゼロス税理士法人
お問い合わせ support@nxt-fintech.com

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